MORSE

※他担感想
※原作、映画版及びパンフ等関係資料未読
 

MORSE東京公演、何やら小瀧くんがヤバイ*1という情報だけを得て観に行きました。感想書くのめちゃめちゃ苦手だからちょっとこれどう書いていいかわかんないんですけど、ほんとに観に行けてよかったです。

 
小瀧くん演じるオスカ―の境遇はなかなか悲惨です。両親は離婚、同性愛者のパパは家を出ていき、一緒に暮らすママはアル中、学校では同級生から執拗にいじめを受けています。これだけでも、オスカーを守りたい…って気持ちにさせられるのに、世界はオスカーに少しだけ優しくて、それがこの上なく残酷で。いじめっ子の一人ミッケは昔はオスカーと仲が良かったようで、ヨンニがいないときはオスカーに優しい言葉をかけてくれるが、ヨンニがいるときは助けてくれない。先生はオスカーを褒めてくれたり相談に乗ってくれるけど、オスカーがいじめられている時に来てはくれない。ママはオスカーに「いい子ね」と言うがいじめっ子に反撃して「悪い子」になったオスカーには怒声を浴びせるし久しぶりに会うパパはオスカーと遊んでくれるが一緒には暮らせないと言う。
 
そんな学校でも家庭でもひとりぼっちだったオスカーは、隣に越してきた謎の少女・エリと友達になり、無邪気な笑顔を見せたり、はしゃいだりします。これがもう可愛くて切なくて胸がぎゅーってなる。エリは普通の女の子ではありません。もとは男の子だし、人間の血を飲まなければ吸血鬼なのです。
「女の子じゃなくても、好き?」とエリに問われ戸惑いながらも「好きだと思うよ」と答えるオスカー。とってもピュア。
 
エリと出会ったことでオスカーは変わっていきます。少しだけ体育の授業を頑張ってみたり、いじめっ子に反撃してみたり。しかし、オスカーをとりまく環境は全く変わらなくて、それどころか少しずつ悪い方向に進んでいきます。
ラストシーンでは、いじめっ子のお兄ちゃんにプールに沈められて殺されかけたところをエリに助けだされ、エリと二人で列車に乗り旅立つところで終わっています。
 

1回目見終わったとき、ぼんやりとした頭で考えました。

これはハッピーエンドなのか?

一見するとハッピーエンドのように見えました。どこにも居場所がなかったオスカーが、同じく長い年月を孤独に生きるエリと出会い、一緒に生きていく。まだ12歳のオスカーが自らを取り巻く環境を変えられたとは思えないし、殺されかけたところを助けに来てくれたのはエリで、エリはまさにオスカーにとっての救世主だった。
 
でも、オスカーにとってエリという存在は重すぎるんじゃないか。エリは人間の血を飲まなければ生きていけません。エリと一緒に暮らしていたホーカンはエリに血を与えるため、殺人を犯し続けていた。察するに、ホーカンもまだ若い時分にエリと出会っており、エリを「天使」「僕の神」と形容し、狂気的に愛していた。ホーカンもオスカーと同じでエリに助けられてそれをきっかけに一緒に過ごすようになったのか、ということはオスカーもホーカンと同じような運命を辿ってしまうのか。エリと共に生きるということは、エリがオスカーに望んだ「光を浴びて、正しい世界で生きる」ことが出来なくなります。これは長い長い、エリを中心としたループ物語かとも思いました。
 

ラスト5分、オスカーとエリの間に会話らしい会話はありません。沈められたオスカーをエリが引き上げ、優しくタオルを被せ服を着せます。そしてトランクに入ったエリと共に列車に乗るオスカー。*2

 1回目に見にいったときは席の関係で最後のオスカーの表情が見えなくて、結末の解釈が自分の中で腑に落ちなくて。どうしてももう一度見て確かめたい!と思って2回目を見に行きました。*3

列車でエリの入ったトランクを優しく、愛おし気に撫でるオスカー。真っすぐ前を見つめるその表情には「決意」が見えた気がした。だからわたしは、この物語はハッピーエンドだったと信じたい。というか、エリとオスカーには幸せになってほしい…。

 

そんな重たくて引き込まれるような舞台の後、カテコで見る小瀧くんはもうオスカーじゃなくって、かわいくておちゃめでとってもアイドルなかわいい最年少で本当にかわいかったです。あまりの可愛さにグローブ座が悲鳴あげてた。グローブ座最高。

 

大千秋楽おめでとうございました!

 
 

*1:パンツ一丁になったり体操服姿になったりする

*2:台詞なしで、その表情と仕草だけで演じきってるのが震えるほどかっこよかった…!

*3:2回目は2階席だったから双眼鏡使ってたんだけど、着替えのシーンとか跳び箱のところとか双眼鏡越しに眺めててなんだか見てはいけないものを見ているような罪悪感でいっぱいでした…笑